年会での多重発表について

2018年5月の年会で開催された多重発表に関する討論会の結果を踏まえ、研究倫理委員会では年会発表(一般講演やシンポジウム)における多重発表(再発表)を条件付きで認め、その注意事項を年会エントリー時の文書で定めることを検討しています。詳しくは『科学史通信』436号17ページをご覧ください。

締め切り:2019年2月28日

年会での多重発表について」への2件のフィードバック

  1. 1993年入会の津谷喜一郎です。科学史通信2019; No.436: 17の趣旨に「多重発表」の用語がありコメントいたします。わたしは日本医学会医学雑誌編集者組織委員会の2008年の創立以来の委員です。(http://jams.med.or.jp/jamje/index.html)。母体となる日本医学雑誌編集者会議は現在129の分科会、雑誌数約200(日英双方発行している会が約半分ある)の編集長から成り立ちます。
    その第1回シンポジウム(2008)で雑誌の世界的状況を
    http://jams.med.or.jp/jamje/001jamje_index.html
    第2回シンポジウム(2009)で多重出版について講演したこともあります。
    http://jams.med.or.jp/jamje/002jamje_index.html
    2015年の医学雑誌編集ガイドライン (http://jams.med.or.jp/guideline/jamje_201503.pdf)の作成にも関わりました。現在、全雑誌へのアンケートにもとづきGL改訂中で、4月頃第2版が発行予定です。
     そこでも参考とする ICMJE recomendation
    (http://www.icmje.org/recommendations/archives/) や現行GLのp.22の「容認される二次出版」(acceptable secondary publication)のコンセプトを、貴誌また貴年会でも使い、duplicate(二重)やmultiple (多重) と、secondaryを区別べきです。現在の「趣旨」では「多重発表」の用語に「容認できるもの」と「容認できないもの」の双方が含まれており混乱します。1次的(primary)に論文や大会で発表したものをsecondaryに使う場合は、primaryの雑誌編集部や大会組織委員会からその了承を得て、それを次の雑誌編集部や大会組織委員会につたえたうえで採択され、また原稿やスライド/配布資料でprimaryがどこかを明示すれればよいのです。どこがprimaryかは重要な情報です。
     このルールに従わないものはduplicate or multiple publication またはpresentationとされ倫理的問題があるとされます。一方先の手続きを経たものはsecondary publicationやpresentationとされ全く問題がありません。医学の領域では2015年のGLがかなり周知され、トラブルになるケースが減っています。
    関連する論文2つを以下に入れました。
    http://firestorage.jp/download/b3adba2316820cd3603ce4707de0883aa6d93512
    http://firestorage.jp/download/2ad8bcb5c2628e272d00d70b256201f2ae733729
                               以上

  2. 貴重なご意見ありがとうございました。今後の検討の参考にさせていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です